このコーナーでは、1950年~70年頃のシカゴ・メンフィス・テキサスあたりの、いくつかのアルバムを御紹介します。すでにアン・アーバーのコーナーや、三大キング、ウェストサイド、シカゴ、テキサスと言ったコーナーで取り上げたブルースマンが中心ですが、掲載している枚数が多くなり、買う時に参考にするには焦点がぼやけてきたので、ここで改めて現在販売しているものに絞ってご紹介したいと思います。
なるべくブルースCDで売っているのが判ったものにします。ジャケットは変わっているものもありますが、レコード(CD)番号を併記しますので、参考にして下さい。ここで紹介するアルバムは、数ある中でも名盤中の名盤と言っても良いと思います。
しかし、同じ人のアルバムでも良いものと「買わなければ良かった」と後悔するものも多いですから、曲目や録音年などの情報を確認して慎重に買いましょう。私の場合は「買わなければ良かった」と思ったものの方が多いですが、色々と経験してみないと難しいところもありますから、納得はしています。
今回は「P-VINEレコード」のカタログしか確認できませんでしたが、かなりの数が出ています。原則として、1アーティストにつき1枚取り上げますが、発売されているもので、私が聴いて同じくらいに良いと感じているものは、何枚か取り上げています。
※今回は国内発売されてるものに絞っています。
※廃盤になっていたらすみません。出来るならば中古盤や輸入盤も探して下さい。
※詳しい事はわかりませんが、「RHINO(ライノ)」と言うレーベルが廉価盤で良いのを見かけます。米国盤?
※私はP-VINEレコードと関係はありませんが、1970年代に、ここから出た「カルビン・リィービー」の「カミンズ・プリズンファーム」と言うアルバムを買ってからのユーザーです。良いアルバムが多数出てますので、チェックしてみて下さい。問い合わせなどは、直接P-VINEレコードのウェブサイトで調べてください。
1950年頃
簡単に当時の時代背景を書きますと、50年代初め頃の北部都市は工業化の嵐で、シカゴ、デトロイトなどの大都市は南部からの移住や出稼ぎの黒人労働者が沢山住んでいました。この頃は南部のブルースを電気化したバンドサウンドのブルースも盛んになり、R&Bのヒットチャートにもランクされていました。
それも50年代半ば頃のロックンロールの台頭で下火になりますが、ロックンロールもブルースの一スタイルですから、まあ良い時代ですね。ヒットするしないは別に、シカゴはブルースが根強い人気を持つ街で、今でもブルースと言えばシカゴです。
南部からシカゴに行くには、メンフィスを通るわけですが、ここも当然ブルースマンは拠点にしていました。BBキングやボビー・ブランド、ジュニア・パーカーと言った人達は南部デルタを継承するスタイルを取らず、都会的な洗練されたスタイルを築いていきました。
それは、テキサス方面にも繋がります。BBキングやゲイトマウス・ブラウンと言った大物は、テキサスのT・ボーン・ウォーカーの影響を受けていますし、Tボーン・ウォーカーはR&Bを基盤とした、ビッグバンド・スタイルを取っていました。それまではリズム・ギターとしての存在でしかなかったギターも、エレクトリック・ギターになってからはビッグバンドでもソロ演奏が出来る存在になりました。
そんな中で、T・ボーン・ウォーカーは流れるようなフレーズが連続する、「ブルース・ギター・ソロ」と言うスタイルを見事なまでに完成させました。メンフィスはソウルのスタックス・レコードがあり、ブルース畑の人も在籍していました。アルバート・キングやリトル・ミルトンなどの超大物もスタックスから名盤を出しています。
CHICAGO BOUND (CHESS ) / JIMMY ROGERS(1950-1956録音)
70年頃のLPジャケット |
A:
1:YOU'RE THE ONE
2:MONEY MARBLES AND CHALK
3:LUDELLA
4:ACT LIKE YOU LOVE ME
5:BACK DOOR FRIEND
6:LAST TIME
7:I USED TO HAVE A WOMAN
B:
1:SLOPPY DRUNK
2:BLUES LEAVE ME ALONE
3:OUT ON THE ROAD
4:GOIN' AWAY BABY
5:THAT'S ALL RIGHT
6:CHICAGO BOUND
7:WALKING BY MYSELF |
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聴きどころ
随分と早い時期からマディ・ウォーターズのバンドでセカンドギターを務めた人です。当初、マディの録音のほとんどは、ベースのビッグ・クロフォードと二人だけでされていて、1950年になるまで、あまりチャンスがなかったジミー・ロジャースです。
彼の初録音となる、名曲の"TAHAT'S ALL RIGHT","LUDELLA"といったところが聴かれます。このアルバムは50~56年までの名演の数々で、一年に2曲づつくらいの録音ペースです。マディ・ウォーターズの録音がある時に、同じメンバーにより録音されるのが常だったようで、当時のマディ・バンドのメンバーがバックを務め、マディ・ウォーターズも参加してます。
サポートに徹しているので、あくまでもジミーの持ち味、「ウォーム」な歌とシカゴ・スタンダードとも言えるアコースティックなギターが全開です。50年代のシカゴ・ブルースと言うと、これが一番のお奨めです。 |
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メンバー
ギターはジミー・ロジャースとマディ・ウォーターズで、マディのスライドは控えめです。ハープはリトル・ウォルターかビッグ・ウォルターと言う強力ハープ。55年頃の3曲にはピアノにオーティス・スパンも入ります。
さらに、ビッグ・クロフォードとウィリー・ディクソンのベース。ドラムは若いフレッド・ベロウ(後のエイシス)というもので、正に最高のメンバー。ウィリー・ディクソンとフレッド・ベロウはチャック・ベリーのバックもやってたりします。 |
CD発売状況
有るだろうと思って調べましたが、分かりませんでした。残念!
在庫2枚です。2年経ってやっと見つけました。
シカゴ・バウンド |
備考
一枚目から発売状況の不明なのですみません。中古盤でも見つけたら、是非聴いて下さい。また再発されることと思います。
次の紹介からは発売を確認してから掲載します。
2002/12/7 記 |
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オーティス・ラッシュ
THIS ONE'S A GOOD 'UN / OTIS RUSH (1956-1958録音)
70年頃のLPジャケット |
A:
1:DOUBLE TROUBLE
2:JUMP SISTER BESSIE
3:SHE'S A GOOD 'UN-(TAKE.A)
4:CHECKING ON MY BABY
5:SIT DOWN BABY
6:LOVE THAT WOMAN
7:KEEP ON LOVING ME BABY-(TAKE.B)
8:KEEP ON LOVING ME BABY-(TAKE.A)
9:MY BABY IS A GOOD 'UN
10:IF YOU WERE MINE
B:
1:I CAN'T QUIT YOU BABY (ALT.TAKE)
2:ALL YOUR LOVE (I MISS LOVING)
3:GROANING THE BLUES (ALT.TAKE)
4:IT TAKES TIME
5:VIOLENT LOVE
6:THREE TIMES A FOOL (ALT.TAKE)
7:MY LOVE WILL NEVER DIE (ALT.TAKE)
8:SHE'S A GOOD 'UN-(TAKE B) |
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聴きどころ
マディ・ウォーターズ達の次の世代の代表格オーティス・ラッシュのデビューは強烈でした。歌もギターも超一級です。
切れ味鋭くドライブ感満点のギターはロック・ギタリストへの影響も大きく、避けては通れません。この頃はシカゴのウエストサイドに住む黒人が増えて、ここを拠点に活動した新しいブルース世代として、マジック・サム、フェントン・ロビンソン、バディ・ガイ、フレディ・キングなどがいます。"I CAN'T QUIT YOU BABY"はデビューヒットした曲で、ラッシュはまだ21歳くらいです。まったく凄いの一言。
"DOUBLE TROUBLE"はどこまでも沈んでいく、強烈なマイナー・ブルースの大傑作。"ALL YOUR LOVE"はエリック・クラプトンもカヴァーしたラテン・ビートとフォー・ビートが切り替わるタイプで、ラッシュの凄さを凝縮したような曲 。
エリック・クラプトンで聴いてる人も聴いて下さい。とにかく凄いです。 |
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メンバー
ハープのシェーキー・ホートンはビッグ・ウォルター・ホートンらしいです。、ピアノにラファイエット・リーク、ウィリー・ディクソンのベース。オディー・ペインのドラムと58年頃はフレッド・ベロウが参加してます。 |
CD発売状況
何曲かプラスされてる有名な「コブラ・セッション」がありました。
アイ・キャント・クィット・ユー・ベイビー |
備考
これが無い時は、上と同等の名盤
Right Place, Wrong Time (1971録音) ライト・プレイス、ロング・タイムがお奨めです。
この名盤もありました。うれしいですね。
ライト・プレイス・ロング・タイム |
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