ブルースのPower Blues

ブルースとは

音楽的にみたブルース

概要

 黒人ブルースは、音楽的には12小節進行と言う、固有のコード進行パターンを持っています。このような定型のコード進行を持つ音楽を他には知りません。リズムパターンは長い歴史のなかで、いろいろな要素を取り入れたり創造したりして、じつに多様です。

 ブルース特有のリズムとしては、ブギー(ブギ・ウギ)シャッフルなどがあります。アメリカに強制的に連れてこられた、アフリカン・アメリカンが創り出した独創的な音楽は、20世紀には世界中に拡がりました。

  この定型のコード進行(12小節ブルース進行)により、口頭でテンポやキー(調性)を伝える事で、コンボやバンドでの即興的なジャム・セッションも可能になります。実に良く出来た魅力的なコード進行を持つのがブルースです。

 ジャズも110年位前にブルースの強い影響を受けながら始まり、ロックンロールも60年位前にブルース(リズム・アンド・ブルース)の強い影響から生まれてきた音楽です。 さらに、リズム・アンド・ブルースからソウルと言う流れもあります。

 日本にもブルースとタイトルがついた曲が沢山ありますが、あれは音楽的にではなく、ブルースと言う語感がもつ雰囲気から付けたものでしょうね。よく「憂鬱」な気持ちとして、訳されたりします。でも、実際のブルース音楽は実に多様で、暗く重いのから、明るく軽いのまで多くのスタイルがあります。

何しろ100年近い録音の歴史があるのですからね。気が向いたら一枚でいいですからブルースを聴いてみて下さい。ちなみに、私がよく聴くブルースは「モダン・ブルース」「アーバン・ブルース」と呼ばれるものが多いです。

  アルバート・キングティーボーン・ウォーカーゲイトマウス・ブラウン(クラレンス・ゲイトマウス・ブラウン)ボビー・ブランド(ボビー・ブルー・ブランド)オーティス・ラッシュフレディー・キング(フレディ・キング)バディ・ガイエルモア・ジェームスアール・フッカーと言ったところが特に聴く人達です。

 ビー・ビー・キングココ・テイラージュニア・ウェルズもよく聴きます。三人はブルースブラザーズ2000にも出てました。とにかく、広くて深い世界です。

 ブルースブラザーズは映画で有名ですが、元々メンフィスのトップミュージシャン(スタックス・ソウル)を起用したので、音楽的にも非常に格好がいいです。 使われてる曲も有名曲が多くて、とてもいいです。ブルースはどんな感じにカヴァーしているかを聴くのが一番の楽しみでもあります。

 日々ブルースばかり聴いている感じですが、これが不思議と飽きません。いろんな時代、スタイルがありますからローテーションで聴いてると一回りするのに1年くらい経ち、またそれを繰り返すと言った感じで、最近はレトロな1920年代から40年代あたりのピアノ・ブルース(ほとんどピアノだけのブギー(ブギ・ウギ)とかリロイ・カーをはじめとしたシティー・ブルース)を聴くようになりました。

 以前はレコードがあっても、それほど聴かなかった時代のものですが、古き良きものを再発見した気がします。それもまたブルースの面白いところです。

シティ・ブルースとカントリー・ブルース

 ブルースは奴隷解放後に、ワークソングフィールド・ホラーと言った野外での労働歌が原点となり、時を経て地域を拡げ、そして交わりながら形成された音楽です。

 ですから、カントリー・ブルースの弾き語りスタイルが、ブルースの原型を今に伝えているものだと思います。19世紀後半から20世紀の中頃までは、南部のミシシッピー・デルタを中心に、多くのカントリー・ブルースマンがいたことでしょう。

 20世紀になると、仕事を求めて北部の工業都市に多くの黒人が移住しました。1920年代~30年代頃はシカゴを中心にブギー(ブギ・ウギ)のスタイルが流行し、リロイ・カーのような、洗練された感じのシティ・ブルースがレコードとしてよく売れました。

 ブギ・ウギは1940年代には、中西部辺りで盛んだったジャンプ・ブルースなどと共に、リズム・アンド・ブルースと言うバンド・スタイルに昇華し、更にゴスペルの影響が強いコーラス・グループ(ドゥー・ワップ)などと共に、ロック・ロールが流行します。

モダンとアーバン

 シティ・ブルースも南部のブルースマンに影響を与え、シカゴなどの北部都市に移り住んだマディ・ウォーターズハウリン・ウルフ等により、電気化されたバンドスタイルが形成され、シカゴ・ブルースが全盛期となりました。

 私も明確な定義は知りませんが、リズム・アンド・ブルース以降をモダン・ブルースと思っています。その中で、1950年代あたり以降のリズム・アンド・ブルースの影響が強い、バンドスタイルのいろんなブルースをアーバン・ブルース(都会ブルース)と思っています。上記の人達ですね。

 シティとアーバンがどう違うのか?と言われそうですが、シティ・ブルースはアコースティック・ピアノ、アコースティック・ギターのブルースで、1930年代~40年代あたりです。(徐々にエレクトリックを取り入れたりしていきます)

 50年代初め頃の北部都市は工業化の嵐で、シカゴ、デトロイトなどの大都市は南部からの移住や出稼ぎの黒人労働者が沢山住んでいました。この頃は南部のブルースを電気化したバンドサウンドのブルースも盛んになり、R&Bのヒットチャートにもランクされていました。

 それも50年代半ば頃のロックンロールの台頭で下火になりますが、ロックンロールもブルースの一スタイルですから、まあ良い時代ですね。ヒットするしないは別に、シカゴはブルースが根強い人気を持つ街で、今でもブルースと言えばシカゴです。

 南部からシカゴに行くには、メンフィスを通るわけですが、ここも当然ブルースマンは拠点にしていました。BBキングボビー・ブランド、ジュニア・パーカーと言った人達は南部デルタを継承するスタイルを取らず、都会的な洗練されたスタイルを築いていきました。

 それは、テキサス方面にも繋がります。BBキングゲイトマウス・ブラウンと言った大物は、テキサスのT・ボーン・ウォーカーの影響を受けていますし、Tボーン・ウォーカーR&Bを基盤とした、ビッグバンド・スタイルを取っていました。それまではリズム・ギターとしての存在でしかなかったギターも、エレクトリック・ギターになってからはビッグバンドでもソロ演奏が出来る存在になりました。

 そんな中で、T・ボーン・ウォーカーは流れるようなフレーズが連続する、「ブルース・ギター・ソロ」と言うスタイルを見事なまでに完成させました。メンフィスはソウルのスタックス・レコードがあり、ブルース畑の人も在籍していました。アルバート・キングリトル・ミルトンなどの超大物もスタックスから名盤を出しています。

ロック&ロールからロックへの影響 

また、バンド・ブルースと共に、白人カントリーもエレクトリックを取り入れて、ヒルビリー~ロカビリー、さらにブルース、R&Bと言う要素が合わさっていき、1950年代中頃にはロックンロールが大ブレークします。

 1960年代にはヨーロッパ・ツアーなども多くあり、大きな規模のフェスティバルなどで、白人のロック・グループなどもブルースを取り入れ、世界的にブルースは知られていきます。

 アンプの進化などで、パワーも増して多彩な音が出せるようになり、エレクトリック・ギターがバンドの中心的なサウンドになって、ロックンロールからロックという呼び方になっていきます。

 イギリスからは、ブルース、ロックンロール、ロックをやる若者のバンドから、世界的なヒットを出すバンドが出てきたり、アメリカでもブルースをベースとした若者のバンドが多数出てきて、さらに、ブルース・セッションなどでの交流もあり、70年代にはクロス・オーバー、フュージョンと言ったジャンルの無い様なジャンルが主流となります。

 日本でも、バンド・ブームがありましたが、ルーツとなった海外のバンドの多くも、ブルースから多くを学んでいます。実にいろんなブルースがあると思われるでしょうが、時代とともに変化するのは当然で、呼び方も変わりますがブルースはブルースです。決め手は12小節スリーコード進行で、これがある限りはブルースです。まずはブルースを聴いてみて下さい。

 21世紀になっても、ブルースは健在です。80年代~90年代頃のデジタル化されたサウンドの時代を通り過ぎて、またその時に得た経験も加え、なおかつ人間臭いサウンドを求める人達はブルースを忘れません。

 現在でもブルースをやる人とバンドは沢山います。ライブ・ハウスなどでも、フリー・セッションやブルース・セッションの出来る日を設けているところもあり、3コードの定型フォーマットを持つブルースは、ぜひ覚えて欲しいです。

リズム・アンド・ブルース (R&B)

概要

The Roots of Rock 'n' Roll: 1946-1954私自身、R&B(リズム・アンド・ブルース)と言う言葉は、かなり曖昧に使っている気がします。さまざまな書籍を見ても、明確な定義は無いようです。

 例えば、主にブルースを聴いている人、ソウルを聴いている人、あるいはジャズを聴いている人などにより、とらえ方は様々なようです。

The Roots of Rock 'n' Roll: 1946-1954

このアルバムの曲目(ほぼ年順になってます)

 私の場合は、ブルースから派生してソウルとの中間的音楽と考えてきました(言葉ではこの程度しか言えません)。良い音楽であれば良いと言う事で、まずはコンピレーション盤で大雑把に聴くのも良いと思います。

 最初にR&B(リズム・アンド・ブルース)と言う言葉を使ったのは、ビルボードらしいです。1947年に、それまではレイス(Race)と呼ばれていた白人以外(黒人)のレコードを、R&B(リズム・アンド・ブルース)部門に変えてランキングしたのが始まりです。

 名付けたのは、当時ビルボードの記者だった、「ジェリー・ウェクスラー」と言う人ですが、どこかで聞いた名前だと思ったら、後に「アトランティック・レコード」に入社した、とても有名な人でした。

 この事から、R&B(リズム・アンド・ブルース)と言う言葉が、特定のジャンルを指しているのではないことがわかります。この部門にはブルース、後にはロックン・ロール、ソウルの曲などもランキングされるのですから、私などが曖昧になるのも当然ですね。

 1930年代から40年代は、すでにビッグ・バンドが全米で活動していて、特に南西部(テキサス、カンサスあたり)はブルース色を強く残していました。このようなブルースを、ジャンプ・ブルースと呼んだりします。ブギ・ウギ (boogie-woogie)の影響が強く、後のアーバン・ブルースやロックンロールにつながります。

 また、バンド構成が大人数になり、ホーンセクションのリフをバックに歌うスタイルが多く、バックの音に負けないように、ボーカルも絶叫する歌い方になり、『シャウター』などと呼ばれる人もいます(全部が叫んでばかりではないですが)。そんな中で私が聴いているものをいくつか上げてみます。年代的には40年代の半ばから50年頃までが良いと思います。(この頃からR&B(リズム・アンド・ブルース)となるわけですね)

 ウエスト・コーストのR&Bは、イースト・コーストよりもブルース色が強く、私はテキサスや中西部とともに好きです。その代表が「ジョニー・オーティス」です。白人ながら多くの人とバンドをプロデュースした、とても影響力のある人です。

 イースト・コーストでは、ゴスペルをベースとしたコーラス・グループが多く出てきて、ソウルあるいはロックンロールへと繋がって行きます。

50年代も半ば頃にはロックンロールが流行り、この頃にはソウル音楽の初期の人達もデビューしてきます。『ジェームス・ブラウン』『サム・クック』『ジャッキー・ウィルソン』なども50年代半ばに出てきた人達です。勿論、このような流れも色々と関連しているのですが、取り合えずは気にいっているものを紹介します。

 このようなスタイルにも多くのパターンがあり、さらに地方によっても違ったスタイルがあったり、いつでも変化していたわけです。同じ40年代の半ばから50年代の始めの頃は、シカゴではデルタスタイルのマディ・ウォーターズも、レコーディングを盛んにやっていますし、ブルースがR&Bのチャートにも登場した時代です。

 ブルース・レーベルのチェスからも、『チャック・ベリー』『ボ・ディドリー』と言ったロックンロールの人達が出ました。(ボ・ディドリーがロックンロールとは思いませんが、60年代の雑誌などでは、よく一緒に紹介されてました。)

 また、ニューオリンズも独特の雰囲気がある土地柄で、『デイブ・バーソロミュー』『ファッツ・ドミノ』等が、R&Bからロックンロールへと変って行くような事をやっていました。

 大恐慌から戦後にかけての急激な変化があった頃だったわけです。 そんな諸々のスタイルをつなぐのが、まさにブルースと言う音楽(形式・スタイル)だと思います。

 カウント・ベイシーの場合、普通はジャズで語られる人ですが、初期に関してはジャンプ・ブルース的な人と感じます。彼は1904年ニュージャージー州生まれです。ニュージャージー州はニューヨーク州のすぐ南のあたりですから、イーストコーストで活動するのが普通だと思うのですが(実際、最初はニューヨークに行きました)、何故かカンサスシティを拠点にバンドを結成します。きっと、この土地のブルース・スタイルが気に入ったのでしょう。

 カンザスでは、少人数のスモール・コンボ・スタイルで、ルイ・ジョーダンがヒットを連発し、多くのバンドや、フィーチャー・ボーカルが追従しました。ルイ・ジョーダンはイースト・コースト(ニューヨーク)に拠点を変えますが、ジャンプ・ブルースはウエスト・コーストで、より盛んでした。

 南部デルタに根ざしたブルースとは別に、ジャズ・ブルースがレコードとしてアメリカ全土にブルースを広めたのですが、当然、時代が下る程に色々な地域で、様々に変化していくわけです。

 私はブルースが好きですから、どちらかと言うとウエスト・コーストの方が好みですが、かと言って、50~60年代のイースト・コースト、ニューヨーク等で活躍した、キング・カーティスや、コーラス・グループのバックを勤めた、多くのセッションマンも大好きですので、結局ブルースっぽいものは何でも好きと言う事になります。

 あと、南部と北部の中継点であるメンフィスも、最も好きなブルース(リズム・アンド・ブルース)マンが集まっていて、とても重要な都市ですし、ニューオーリンズは常に重要な音楽都市です。

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