ブギ・ウギ誕生の頃
クリップル・クラレンス・ロフトン(CRIPPLE CLARENCE LOFTON)
Born:1896 : Died:1957
レコード製作の再開
ブギ・ウギはハウス・レント・パーティーやジューク・ジョイントでよく演奏されました。不況下でレコードの製作が数年間中止されていて、再開されたのが33年頃とされてますから、レコードとして聴かれるのは1930年代の中頃からが多くなります。 ブギ・ウギ以前の音楽なのでしょうが、1920年代のジャグ・バンドのレコードなどを聴くと、ブルースもかなりやっていたりします。楽器が面白いですから、ちょっとは聴いてみるのも良いと思います。(アルバム1枚は飽きたりしますが・・・) このような多様な音楽から、ブルースの王道とも言えるブギ・ウギのリズムが生まれてきたんでしょうね。シカゴではピアノが主流のようでしたが、南部などに行けば、ギターを抱えたブルースマンもブギのリズムを演奏してたんでしょう。いずれにしても、ブギ・ウギと言う言葉はこの頃に使われ始めたようです。 ちなみに、ハウス・レント・パーティーというのは、間借りをしている人が家賃を捻出するために、自分のアパートの部屋なりをパーティー会場にして、会費を集め、酒を出し、ピアニストの一人二人に演奏をしてもらい、そのアガリを家賃にしたものです。南部時代から慣習的にやられていたようです。
クリップル・クラレンス・ロフトンは曲のタイプも、ブギ・ウギからスロー・ブルースまで広く、また歌もよく歌いますから飽きません。私としては一番愉しめるブギ・ウギ・ピアニストです。 1896年(1887年説もある)が生年で、1957年が没年です。正確かどうかは疑問ですが、1930年代にブギ・ウギの録音をした人達の中では少し年長(10歳くらい)です。 彼は生まれつき足が悪かったらしいですが、踊りながら弾いたり、後ろ手に弾いたりのサーカスのようなプレイをしたそうです。ティー・ボーン・ウォーカーもアクロバティックな人でしたが、黒人プレイヤーはそんな人が多いですね。多くのカヴァーで有名な「I DON'T KNOW」も彼のテイクが原型のようです。名曲と言うか、名スタイルと言える曲です。
クリップル・クラレンス・ロフトン:1935-1939
1. STRUT THAT THING 2. MONKEY MAN BLUES 3. POLICY BLUES 4. BROWN SKIN GIRLS 5. YOU DONE TORE YOUR PLAYHOUSE DOWN 6. CRYING MOTHER BLUES 7. STREAMLINE TRAIN 8. IT'S GOT TO BE DONE 9. JUICY MOUTH SHORTY 10. SWEETEST THING BORN 11. WHEN THE SOLDIERS GET THEIR BONUS 12. TRAVELING BLUES 13. STREAMLINE TRAIN 14. I DON'T KNOW 15. MISTAKEN BLUES 16. PITCHIN' BOOGIE 17. MERCY BLUES 18. HAD A DREAM 19. STREAMLINE TRAIN (R 2772) 20. I DON'T KNOW (R 3361) 探したら、この クリップル・クラレンス・ロフトンがありました。 Complete Recorded Works (1935-39)
Complete Recorded Works (1939-43)
タイトルの録音年にあるように、2枚聴くと10年間くらいの録音がほとんど聴けると思います。
パイントップ・スミス(Pinetop Smith)|カウ・カウ・ ダヴェンポート(Cow Cow Davenport)
ジミー・ヤンシー(Jimmy Yancey)
パイントップ・スミス : Born:1904 : Died:1929
カウ・カウ・ダヴェンポート : Born:1894 : Died:1955 ジミー・ヤンシー : Born:1896 : Died:1951 禁酒法が続くこの頃は、毎夜いたる所でハウス・レント・パーティーが行われ、ピアニストは引っ張りだこでした。かなりの有名・無名のピアニストがいたようです。それでも録音が少ないのは、鑑賞音楽とは考えられていなくて、あくまでもダンスの伴奏として、パーティーのセットの一部のように思われていたからです。そして世界恐慌になり、レコード業界そのものが根底から覆され、数年間の間レコーディングそのものが中止されていたなどの事情があります。 1920年頃は、シカゴの黒人人口がどんどん増えて、約10万人を超えていました。当然ブルースをはじめとした、音楽需要も増えるでしょうし、いろんなミュージシャンも集まってきます。 1928年に録音されたパイントップ・クラレンス・スミスの「Pinetop's Boogie Woogie」は、曲のタイトルに「ブギ・ウギ」と付く最初の曲と言われています。しかし翌年に拳銃の流れ弾に当って死亡し、残された録音は20曲ほどしかありません。彼が偶然住んだアパートには、当時組んで演奏していたと言うミード・ルクス・ルイスとアルバート・アモンズが住んでいたと言う事も、縁とは言え不思議なものです。早世しましたが、後のブギ・ウギ・ピアニストへの影響も強い人です。右に掲載したアルバムで11曲聴くことができます。 そのパイントップ・スミスと仲が良かったのが、カウ・カウ・ダヴェンポート(チャールズ・エドワード・ダヴェンポート)です。汽車の音を模したという、やはり1928年にヒットした「カウ・カウ・ブルース」は後のピアニストがよくカヴァーした曲(スタイル)で、クリップル・クラレンス・ロフトンなどにも影響を与えています。ニックネームのカウ・カウはもちろん曲からとりました。
Charles "Cow Cow" Davenport
1926-1938
Boogie Woogie, Vol. 1: Piano Soloists
ジミー・ヤンシーはシカゴ生まれですが、ヴォードビルを10年くらいやっていて、いろんなスタイルを持っています。シカゴに戻り定着してからは重要なブギ・ウギ・ピアニストの一人になります。ジミー・ヤンシー、パイントップ・スミス、カウ・カウ・ ダヴェンポートの3人が聴けるオムニバスがあります。ジャケット画像はありませんが、これは楽しめます。 偶然にもこのページの人が揃って収録されています。ちなみにロフトンの「ストリームライン・トレイン」が収録されていますが、この曲は「カウ・カウ・ブルース」の影響を受けて作られたようです。 Boogie Woogie, Vol. 1: Piano Soloists
1. Pinetop's Boogie Woogie - Clarence Smith 2. Jump Steady Blues - Clarence Smith 3. Detroit Rocks - Montana Taylor 4. Indiana Avenue Stomp - Montana Taylor 5. Dirty Dozens - Rufus G. Perryman 6. Wilkins Street Stomp - Rufus G. Perryman 7. Head Rag Hop - Romeo Nelson 8. Cow Cow Blues - Charles "Cow Cow" Davenport 9. State Street Jive - Charles "Cow Cow" Davenport 10. Yancey Special - Jimmy Yancey 11. Midnight Stomp - Jimmy Yancey 12. Streamline Train - Clarence Lofton 13. I Don't Know - Clarence Lofton 14. Shout for Joy - Albert Ammons 15. Bass Goin' Crazy - Albert Ammons 16. Yancey Special - Meade "Lux" Lewis 17. Honky Tonk Train Blues - Meade "Lux" Lewis 18. Blues on the Down Beat - Pete Johnson 19. Kaycee on My Mind - Pete Johnson 20. Ross Tavern Boogie - Art Hodes
三人のブギ・ウギ・ピアノ
ミード・ルクス・ルイス
Born:1905 : Died:1964
「ピート・ジョンソン」と「アルバート・アモンズ」と3人で活動する事が多かったようで、3人のオムニバス盤も見かけます。このアルバムにも、アルバート・アモンズとのセッションも入っています。この人のプレイは「トイ・ピアノ」のような、不思議な音で演奏している曲もあり、なかなか面白いです。「HONKY TONK TRAIN BLUES」が3曲も入っていますが、ブギ・ウギを世間に知らしめた曲とも言われていますから、思い入れがあるのでしょう。
Meade Lux Lewis: 1927-1939
MEADE LUX LEWIS: 1927-1939
1. HONKY TONK TRAIN BLUES 2. HONKY TONK TRAIN BLUES 3. YANCEY SPECIAL 4. CELESTE BLUES 5. I'M IN THE MOOD FOR LOVE 6. MR. FREDDIE BLUES 7. HONKY TONK TRAIN BLUES 8. WHISTLIN' BLUES 9. BOOGIE WOOGIE PRAYER, PT. 1 (ALBERT AMMONS) 10. BOOGIE WOOGIE PRAYER, PT. 2 (ALBERT AMMONS ) 11. BEAR CAT CRAWL 12. BLUES, PT. 1 13. BLUES, PT. 2 14. BLUES, PT. 4 15. BLUES, PT. 4 16. BLUES, PT. 5 17. MELANCHOLY 18. SOLITUDE
ピート・ジョンソン
Born:1904 : Died:1967
かなりR&Bに近いものを感じます。私にはほとんど区別できません。ピアノだけでの曲と管楽器(トランペット)やドラムが入っているテイクが半々というところですが、ブギ・ウギにしても、ブルース・ナンバーにしても、完成度の高さがあり、すごく良いなと感じます。 同じ頃にはカンザス・シティでは「カウント・ベイシー」が活躍し、「ルイ・ジョーダン」も41年には録音を始めていますから、すでにジャンプ・ブルースの形も出来ていたでしょうし、放浪するカントリー・ブルースマンなどとも影響しあっているのでしょう。
PETE JOHNSON 1938-39
PETE JOHNSON : SOME DAY BLUES 1938-39
1. GOIN' AWAY BLUES 2. ROLL 'EM PETE 3. BOO WOO 4. HOME JAMES 5. SHUFFLE BOOGIE 6. LONE STAR BLUES 7. B & O BLUES 8. HOW LONG 9. CLIMBIN' AND SCREAMIN' 10. BUSS ROBINSON BLUES 11. PETE'S BLUES 12. LET 'EM JUMP 13. PETE'S BLUES NO. 2 14. CHERRY RED 15. BABY, LOOK AT YOU 16. LOVIN' MAMA BLUES 17. CAFE SOCIETY RAG 18. BOOGIE WOOGIE 19. VINE STREET BUSTLE 20. SOME DAY BLUES
アルバート・アモンズ
Born:1907 : Died:1949
この人は自分のバンドがあったみたいで、バンドでの曲が多いです。トランペットやドラムなどが入ると、ほとんどジャンプ・ブルースや、ジャズ・バンドのように聴こえます(私には)。 やはり、シカゴあたりではいろんな要素が混在して、どんどん取り入れてる感じがします。左手のべースラインなどは、後のブルースバンドやロックンロールバンドのベーシストが取るようなラインをガンガンやっています。やっぱりブルースは良いなと感じてしまいます。古い時代の演奏力の高さにも驚きます。
ALBERT AMMONS 1936-39
ALBERT AMMONS :THE CHRONOLOGICAL ALBERT AMMONS : CLASSICS, 1936-1939
1. NAGASAKI 2. BOOGIE WOOGIE STOMP 3. EARLY MORNIN' BLUES 4. MILE-OR-MO BIRD RAG 5. SHOUT FOR JOY 6. BOOGIE WOOGIE STOMP 7. CHICAGO IN MIND 8. SUITCASE BLUES 9. BOOGIE WOOGIE BLUES 10. BASS GOIN' CRAZY 11. BACKWATER BLUES 12. CHANGES IN BOOGIE WOOGIE 13. EASY RIDER BLUES 14. WOO-WOO 15. JESSE 16. WEARY LAND BLUES (IMPROVISATION) 17. PORT OF HARLEM BLUES (IMPROVISATION) 18. MIGHTY BLUES (IMPROVISATION) 19. ROCKING THE BLUES (IMPROVISATION)
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馴染みやすい
ブルースアルバム
ブルース・ブラザーズ等
ロック系との影響
1960年代
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ブルース編2
R&B編
ソウル編
話題のDVDなど
ブルースの歴史など
歴史全般がわかる
スコセッシ・プレゼンツ
*** DVD ***
Martin Scorsese Presents the Blues
マーティン・スコセッシのプロデュースで、名監督たちが“ブルース”をテーマに作り上げた7作品のDVD-BOX。英文解説冊子付。
Martin Scorsese Presents the Blues [DVD] [Import]
*** CD ***
Blues: a Musical Journey
映画監督であるスコセッシ氏は、かなりのブルース通のようで、素晴しい選曲だと思います。
長いブルースの録音からすれば、ほんのわずかな曲数(110曲)ですが、実にツボを押えた選曲です。
参考までに全曲リストと簡単な説明を作りました。
このページの
アルバムなど
ジミー・ヤンシー
三人の競演!
2ディスクなので、かなり聴けます。まとめて聴くならこれですね。内容もとても良いです。 The Boogie Woogie Trio, Vols. 1-2
ミード・ルクス・ルイス
やはりこの年代が良いです。 Meade Lux Lewis(1927-1939) Meade Lux Lewis: 1927-1939
Albert Ammons and Meade Lux Lewis アモンズとの演奏です。これも良いです。一部重複あり。 The First Day
ピート・ジョンソン
やはり、30年代のこれが良いですね。 1938-1939
アルバート・アモンズ
Albert Ammons : Classics, 1936-1939 The Chronological Albert Ammons1936-1939 Alternate Takes Radio Performance 在庫1枚です。
Boogie Woogie Stomp
カウ・カウ・ダベンポート他
Boogie Woogie, Vol. 1: Piano Soloists
Boogie Woogie, Vol. 1: Piano Soloists
パイントップ・スミス
11曲目まで
残念ながら扱っていないようですが、どこかで見つけたら聴いて下さい。パイントップ・スミスが11曲聴けます。 1. Pine Top Blues (Take A) 2. Pine Top Blues (Take B) - 3. Pine Top's Boogie Woogie (Take A) - 4. Pine Top's Boogie Woogie (Take B) - 5. I Got More Sense Than That - 6. I'm Sober Now - 7. Big Boy They Can't Do That - 8. Jump Steady Blues (Take A) - 9. Jump Steady Blues (Take B) - 10. Now Ain't Got Nothin At All - 11. Nobody Knows You When You're Down And Out - 以上はパイン・トップ・スミス 12. Dearborn Street Breakdown - Charles Avery 13. Tee Rolller's Rub - Freddie 'Redd' Nicholson 14. Dirty No Gooder - Freddie 'Redd' Nicholson 15. You Gonna Miss Me Blues - Freddie 'Redd' Nicholson 16. I Ain't Sleepy - Freddie 'Redd' Nicholson 17. Freddie's Got The Blues - Freddie 'Redd' Nicholson 18. Ko Ko Mo Blues-Part 1 - 'Jabo' Williams 19. Ko Ko Mo Blues-Part 2 - 'Jabo' Williams 20. House Lady Blues - 'Jabo' Williams
MP3
1曲から
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