いつの時代にも多くのミュージシャンを輩出してきた都市で、そのスタイルも洗練度の高いものから、南部的な荒削りなものまで、実に多彩な面を持っています。「キング・オリバー」「ルイ・アームストロング」「ジェリー・ロール・モートン」「シドニー・ベチェ」などの、ジャズの初期のミュージシャンも、この都市から沢山出ています。
何をやっても独特の重量感があり、とてもエグイ土地柄です。この時代のキーマンは、やはり『デイブ・バーソロミュー』と『ファッツ・ドミノ』でしょうか。ニューオリンズのR&Bにおける中心人物は、トランペッター・バンドリーダーの デイブ・バーソロミューで、自身の録音もさることながら、スマイリー・ルイスやロイド・プライス、さらにはファッ・ドミノの製作に関与し、他にもリトル・リチャード、などのロックン・ロール歌手のバッキングもし、多くの影響を与えました。
ポール・ゲイトゥンの楽団(一応、ビッグ・バンドの事です)も、やはり当時の定番とも言える女性ボーカルのアーニー・ローリーをフィーチャーし、1947年の「シンス・アイ・フェル・フォーユー」、さらに1950年「アイル・ネバー・ビー・フリー」とヒット曲を出します。
デイブ・バーソロミューもやはり、最初は女性の「ジョエル・キング」をボーカルにしていましたが、男性ボーカルの「トミー・リッジリー」のレコーディングもしています。この頃(1949年)は、まだジャンプ・ブルース的なスタイルでしたが、同じ頃の「ファッツドミノ」のレコーディングでは、ファッツ・ドミノの持ち味である、ゆったりしたバラード(ウエストコーストのチャールズ・ブラウン風)やカントリー(白人のC&W)的なボーカルスタイルでヒットを連発していきます。
独特のリズム感覚を持つニューオリンズのサウンドは、いろんな時代に様々な影響を与えてきました。R&Bからロックンロールへの流れにも強い影響がありますし、ファンキーなソウル、ブルーズもニューオリンズ無しには語れません。
また、ニューオリンズはピアニストの宝庫ですが、その中でもルンバ的なリズムを取り入れた、プロフェッサー・ロングヘアーの存在は大きく、アラン・トゥーサンやヒューイ・スミス、ドクター・ジョンなどを通じて後々まで影響を与えています。
※ニュー・オリンズ音楽のキーワード「セカンド・ライン」「ブラス・バンド」「マルディグラ」「ジャズ」「ファンク」
1946年、カリフォルニア州ロサンゼルスでルー・チャッドが設立したレコード会社です。 翌年からブルース、R&Bもリリースし始めて、デイブ・バーソロミューをプロデューサーとし、多くのニューオーリンズ・アーティストを録音し、バッキング演奏も彼のバンドが務めました。特にファッツ・ドミノとは多くのヒットを放ち大成功を収めます。
1950年代~1960年代にかけては、T-ボーン・ウォーカー、アール・キング、スヌークス・イーグリンなど重要なブルース系の大物と契約し、名盤と言える録音を多数残しています。
レーベルの中での売れっ子はロックンロール・スターのリッキー・ネルソンで、彼のヒットでレーベルとしては大きくなっていきます。さらに、 1961年にはアラディン・レコード、1963年にはミニット・レコード傘下に収め、充実したように思えますが、1963年にファッツ・ドミノとリッキー・ネルソンが他レコードへ移籍してしまいます。
このような事から、ルー・チャッドはインペリアルをリバティ・レコードへ売却してしまい、 ブルース系のレーベルとしてのインペリアル・レコードの魅力はなくなりました。また、リバティ・レコードは1968年にユナイテッド・アーティスツ・レコード と合併しました。
配給元は変遷しましたが、原盤としてのインペリアル録音は、後々も再発売されています。
Doctors, Professors, Kings and Queens: The Big Ol' Box of New Orleans
Doctors, Professors, Kings and 「ガンボ(ごった煮)」にたとえられるように、様々な音楽が息づくニューオリンズのコンピ盤がありました。 |
Various Artists
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NEW ORLEANS BOUNCE VOL1デイブ・バーソロミュー他、オムニバス盤 このアルバムはありそうもないですね。代表してデイブ・バーソロミューのアルバムです。 上は49年から61年までの録音ですが、『テキサス』で取り上げた『ピー・ウィー・クレイトン』のバックをつけた『デイブ・バーソロミュー』の50年頃も聴かれます。 ウエストコーストのバンドと較べると、粘着的で泥臭く重厚なサウンドで、リズム的にもニューオリンズは独特で面白いものがあります。また、56年頃の『デイブ・バーソロミュー』がバックをつけた、『ロイ・ブラウン』の曲も聴かれます。50年代半ば頃になるとロックンロールになっているのがわかります。 デイブ・バーソロミューのバンドとしてのアルバムも楽しいです。また、彼がプロデュースした多くの人やヒットを集めた下のアルバムは、お手軽にニューオリンズの魅力がわかると思います。 |
ROCK AND ROLLIN' WITH FATS DOMINOファッツ・ドミノ特にチャート上位の曲を集めたベスト盤で、初期は良いです。 Fats Domino Jukebox: 20 Greatest Hits... (原盤:インペリアル録音) 1956年の1枚目のアルバム。ロックンロールのヒットメーカーで、15曲ものミリオン・セラー・シングルを出しています。 この年は、3枚のアルバムをリリースしています。チャート上位の曲を集めたベスト盤も良いですし、オリジナルのアルバムにボーナストラック追加も良しです。 すでに48年に"THE FAT MAN"のヒットがあり、その頃から、56年の"blueberry Hill"あたりや、"Blue Monday"の頃までが良いです。 いずれにしても、知名度からいっても後のロック・ピアニストに与えた影響は大きい人です。バーソロミューのバンドも一つの時代を作った立役者で素晴らしいです。
同じ時期のものです。やはり良い曲が多いです。代表曲のほとんどが入っています。さすがに良い曲が並んでいて、今更ながらに感心します。 |
I HEAR YOU KNOCKINGスマイリー・ルイス
これに近いのがありました。 The Best of Smiley Lewis: I Hear You Knocking (原盤:インペリアル録音) 40年代から活動していて、52年の"THE BELLS ARE RINGING"のヒットが入っています。 やはり、『デイブ・バーソロミュー』がプロデュースからやっていて、ファッツ・ドミノも参加したりしています。ニューオリンズR&Bを代表するシンガーです。 |
LET THE GOOD TIMES ROLL!
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LLOYD PRICE (SPECIALTY)ロイド・プライス同じ時期のものです。 この人も52年の"LOWDY MISS CLAWDY"の大ヒットが17才でのもので、バックも同じく『バーソロミュー』と『ファッツ・ドミノ』のラインです。"SPECIALTY"時代が良いと思います。 |
NEW ORLEANS PIANO
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HAVING
A GOOD TIME
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Chess King of New Orleans/The Chess Yearsポール・ゲイトゥンChess King of New Orleans/The Chess Years ドクター・ジョンは、自身が13歳くらいの時の、初めてのレコーディングセッションが、ポールのバンドでの仕事だったと言っています。誰のレコードかは覚えていないそうです。
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THE THINGS I USED TO DOGUITAR SLIMギター・スリム(SPECIALTY)
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THOSE LONLY,LONLY NIGHT
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Complete Imperial Recordingsスヌークス・イーグリンなんとも洒脱な感じの軽妙さがGOOD! 2000曲のレパートリーを誇る、人間ジュークボックスの異名を持つ人です。 後のブラックトップでは4作をリリースで、どれも名盤。 (原盤:インペリアル録音)
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DR. JOHN (1972)ドクター・ジョン GUMBO (ATCO)白人ですが、ニューオリンズの名物ボーカル・ピアニスト。アン・アーバーにも出演してます。とにかくいろんな所に顔を出す人で、個性的なダミ声とニューオリンズの様々なピアノ・スタイルをマスターしてる人です。 ジャズ・スタイルのアルバムやフュージョン・アルバム等、とにかく多才です。どんなスタイルでやっても強烈な歌声ですから、すぐわかります。 このアルバムが最もニューオリンズ的です。 この時期の録音では、ミーターズがバックを務めた、『イン・ザ・ライト・プレイス』もあります。こちらは、ニューオリンズ・ファンクと言った感じです。どちらも、名盤です。 |