私自身、R&B(リズム・アンド・ブルース)と言う言葉は、かなり曖昧に使っている気がします。さまざまな書籍を見ても、明確な定義は無いようです。例えば、主にブルースを聴いている人、ソウルを聴いている人、あるいはジャズを聴いている人などにより、とらえ方は様々なようです。私の場合は、ブルースから派生してソウルとの中間的音楽と考えてきました(言葉ではこの程度しか言えません)。良い音楽であれば良いと言う事で、まずはコンピレーション盤で大雑把に聴くのも良いとおもいます。
The Roots of Rock 'n' Roll: 1946-1954
1930年代から40年代は、すでにビッグ・バンドが全米で活動していて、特に南西部(テキサス、カンサスあたり)はブルース色を強く残していました。このようなブルースを、ジャンプ・ブルースと呼んだりします。
また、バンド構成が大人数になり、ホーンセクションのリフをバックに歌うスタイルが多く、バックの音に負けないように、ボーカルも絶叫する歌い方になり、『シャウター』などと呼ばれる人もいます(全部が叫んでばかりではないですが)。そんな中で私が聴いているものをいくつか上げてみます。年代的には40年代の半ばから50年頃までが良いと思います。
ウエスト・コーストのR&Bは、イースト・コーストよりもブルース色が強く、私はテキサスや中西部とともに好きです。その代表が「ジョニー・オーティス」です。白人ながら多くの人とバンドをプロデュースした、とても影響力のある人です。
50年代も半ば頃にはロックンロールが流行り、この頃にはソウル音楽の初期の人達もデビューしてきます。『ジェームス・ブラウン』『サム・クック』『ジャッキー・ウィルソン』なども50年代半ばに出てきた人達です。勿論、このような流れも色々と関連しているのですが、取り合えずは気にいっているものを紹介します。
このようなスタイルにも多くのパターンがあり、さらに地方によっても違ったスタイルがあったり、いつでも変化していたわけです。同じ40年代の半ばから50年代の始めの頃は、シカゴではデルタスタイルのマディ・ウォーターズも、レコーディングを盛んにやっていますし、ブルースがR&Bのチャートにも登場した時代です。
ブルース・レーベルのチェスからも、『チャック・ベリー』『ボ・ディドリー』と言ったロックンロールの人達が出ました。(ボ・ディドリーがロックンロールとは思いませんが、60年代の雑誌などでは、よく一緒に紹介されてました。)
また、ニューオリンズも独特の雰囲気がある土地柄で、『デイブ・バーソロミュー』『ファッツ・ドミノ』等が、R&Bからロックンロールへと変って行くような事をやっていました。
大恐慌から戦後にかけての急激な変化があった頃だったわけです。 そんな諸々のスタイルをつなぐのが、まさにブルースと言う音楽だと思います。
これも3ディスクですから聴き応えがあります。
The Complete Decca Recordings: 1937
バンドを作って早期のデッカ時代です。ジミー・ラッシングも良いですし、サックスのレスター・ヤング、ハーシェル・エバンスやギターのフレディ・グリーンも良いです。
とにかく沢山のレコードがありますが、私はこの頃のブルース、ジャンプをガンガンやってる頃がお薦めです。30年代ですね。
なかなか同じものはありませんが、ほぼ同時期のものです。在庫少ないです。
1938-1939
上と同じ頃で選曲もダブります。どちらかと言う事で良いと思います。録音年代で捜して下さい。
同じく早期のものです。
1930-1938
ベイシーバンドも解散したり復活したりとか、この頃の詳しい事は知らないのですが、ジミー・ラッシングとしてのこのアルバムには、フレディ・グリーンとベースのウォルター・ページが参加しています。
ジミー・ラッシングは最高にイカシテます。ギターでロイ・ゲインズも参加しています。ジャズ・ボーカルともR&Bボーカルとも言えそうですが、ブルースをやってくれる時が一番です。
1938年に、ブギ・ウギのピアノで有名なピート・ジョンソンとコンビを組んで長く一緒に活動(一時別々、47年に再開)しました。最初の曲「ロール・エム・ピート」が大ヒットして、後のR&Bにも大きな影響を与えます。
ニューヨークでも活動し、後年(50年代)アトランティックと契約し、そこではR&R(ロックン・ロール)の先駆け的な曲、「シェイク・ラトル&ロール」などがあり、何かと影響力のある人です。