ブルース

ブルースとは

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音楽的にみたブルース

形成時期は20世紀初頭

ブルース概要

 黒人ブルースは、音楽的には12小節進行と言う、固有のコード進行パターンを持っています。このような定型のコード進行を持つ音楽を他には知りません。リズムパターンは長い歴史のなかで、いろいろな要素を取り入れたり創造したりして、じつに多様です。

 ブルース特有のリズムとしては、ブギー(ブギ・ウギ)シャッフルなどがあります。アメリカに強制的に連れてこられた、アフリカン・アメリカンが創り出した独創的な音楽は、20世紀には世界中に拡がりました。

 ジャズも110年位前にブルースの強い影響下の中で始まり、ロックンロールも1950年代にブルース(リズム・アンド・ブルース)の強い影響から生まれてきた音楽です。 ロックンロールは1960年代にはロック・ミュージックとして世界中で流行しました。さらに、1960年頃にはリズム・アンド・ブルースからソウルと言う流れもあります。

 実際のブルース音楽は実に多様で、暗く重いのから、明るく軽いのまで多くのスタイルがあります。何しろ100年近い録音の歴史があるのですからね。気が向いたら一枚でいいですからブルースを聴いてみて下さい。ちなみに、私がよく聴くブルースは「モダン・ブルース」「アーバン・ブルース」と呼ばれるものが多いです。

  アルバート・キング、ティーボーン・ウォーカー、ビー・ビー・キング、ゲイトマウス・ブラウン、ボビー・ブランド、オーティス・ラッシュ、フレディー・キング、バディ・ガイ、ココ・テイラー、ジュニア・ウェルズ、エルモア・ジェームス、アール・フッカーと言ったところが特に聴く人達です。とにかく、広くて深い世界です。

 ブルースブラザーズは映画で有名ですが、元々メンフィスのトップミュージシャン(スタックス・ソウル)を起用したので、音楽的にも非常に格好がいいです。 使われてる曲も有名曲が多くて、とてもいいです。ブルースはどんな感じにカヴァーしているかを聴くのが一番の楽しみでもあります。

 日々ブルースばかり聴いている感じですが、これが不思議と飽きません。いろんな時代、スタイルがありますからローテーションで聴いてると一回りするのに1年くらい経ち、またそれを繰り返すと言った感じで、最近はレトロな1920年代から40年代あたりのピアノ・ブルース(ほとんどピアノだけのブギー(ブギ・ウギ)とかリロイ・カーをはじめとしたシティー・ブルースを聴くようになりました。

 以前はレコードがあっても、それほど聴かなかった時代のものですが、古き良きものを再発見した気がします。それもまたブルースの面白いところです。

シティとカントリー

 ブルースは奴隷解放後に、ワークソングフィールド・ホラーと言った野外での労働歌が原点となり、時を経て地域を拡げ、そして交わりながら形成された音楽です。

 ですから、カントリー・ブルースの弾き語りスタイルが、ブルースの原型を今に伝えているものだと思います。19世紀後半から20世紀の中頃までは、南部のミシシッピー・デルタを中心に、多くのカントリー・ブルースマンがいたことでしょう。

 20世紀になると、仕事を求めて北部の工業都市に多くの黒人が移住しました。1920年代~30年代頃はシカゴを中心にブギー(ブギ・ウギ)のスタイルが流行し、リロイ・カーのような、洗練された感じのシティ・ブルースがレコードとしてよく売れました。シティ・ブルースはアコースティック・ピアノ、アコースティック・ギターのブルースで、1930年代~40年代あたりです。

 そして、ブギ・ウギは1940年代には中西部辺りで盛んだったジャンプ・ブルースなどと共に、リズム・アンド・ブルースと言うバンド・スタイルに昇華し、更にゴスペルの影響が強いコーラス・グループ(ドゥー・ワップ)などと共に、ロック・ロールが流行します。

モダンとアーバン

 シティ・ブルースも南部のブルースマンに影響を与え、シカゴなどの北部都市に移り住んだマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ等により、電気化されたバンドスタイルが形成され、シカゴ・ブルースが全盛期となりました。

 私も明確な定義は知りませんが、リズム・アンド・ブルース以降をモダン・ブルースと思っています。その中で、1950年代あたり以降のリズム・アンド・ブルースの影響が強い、バンドスタイルのいろんなブルースをアーバン・ブルース(都会ブルース)と思っています。上記の人達ですね。

 50年代初め頃の北部都市は工業化の嵐で、シカゴ、デトロイトなどの大都市は南部からの移住や出稼ぎの黒人労働者が沢山住んでいました。この頃は南部のブルースを電気化したバンドサウンドのブルースも盛んになり、R&Bのヒットチャートにもランクされていました。

 それも50年代半ば頃のロックンロールの台頭で下火になりますが、ロックンロールもブルースの一スタイルですから、まあ良い時代ですね。ヒットするしないは別に、シカゴはブルースが根強い人気を持つ街で、今でもブルースと言えばシカゴです。

 南部からシカゴに行くには、メンフィスを通るわけですが、ここも当然ブルースマンは拠点にしていました。BBキングやボビー・ブランド、ジュニア・パーカーと言った人達は南部デルタを継承するスタイルを取らず、都会的な洗練されたスタイルを築いていきました。

 それは、テキサス方面にも繋がります。BBキングやゲイトマウス・ブラウンと言った大物は、テキサスのT・ボーン・ウォーカーの影響を受けていますし、Tボーン・ウォーカーはR&Bを基盤とした、ビッグバンド・スタイルを取っていました。それまではリズム・ギターとしての存在でしかなかったギターも、エレクトリック・ギターになってからはビッグバンドでもソロ演奏が出来る存在になりました。

 そんな中で、T・ボーン・ウォーカーは流れるようなフレーズが連続する、「ブルース・ギター・ソロ」と言うスタイルを見事なまでに完成させました。メンフィスはソウルのスタックス・レコードがあり、ブルース畑の人も在籍していました。アルバート・キングやリトル・ミルトンなどの超大物もスタックスから名盤を出しています。

 また、バンド・ブルースと共に、白人カントリーもエレクトリックを取り入れて、ヒルビリー~ロカビリー、さらにブルース、R&Bと言う要素が合わさっていき、1950年代中頃にはロックンロールが大ブレークします。

 1960年代にはヨーロッパ・ツアーなども多くあり、大きな規模のフェスティバルなどで、白人のロック・グループなどもブルースを取り入れ、世界的にブルースは知られていきます。

 アンプの進化などで、パワーも増して多彩な音が出せるようになり、エレクトリック・ギターがバンドの中心的なサウンドになって、ロックンロールからロックという呼び方になっていきます。

 イギリスからは、ブルース、ロックンロール、ロックをやる若者のバンドから、世界的なヒットを出すバンドが出てきたり、アメリカでもブルースをベースとした若者のバンドが多数出てきて、さらに、ブルース・セッションなどでの交流もあり、70年代にはクロス・オーバー、フュージョンと言ったジャンルの無い様なジャンルが主流となります。

 日本でも、バンド・ブームがありましたが、ルーツとなった海外のバンドの多くも、ブルースから多くを学んでいます。実にいろんなブルースがあると思われるでしょうが、時代とともに変化するのは当然で、呼び方も変わりますがブルースはブルースです。決め手は12小節スリーコード進行で、これがある限りはブルースです。まずはブルースを聴いてみて下さい。

 21世紀になっても、ブルースは健在です。80年代~90年代頃のデジタル化されたサウンドの時代を通り過ぎて、またその時に得た経験も加え、なおかつ人間臭いサウンドを求める人達はブルースを忘れません。

 現在でもブルースをやる人とバンドは沢山います。ライブ・ハウスなどでも、フリー・セッションやブルース・セッションの出来る日を設けているところもあり、3コードの定型フォーマットを持つブルースは、ぜひ覚えて欲しいです。

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