rock

エリック・クラプトン
Eric Clapton
イギリス60年代

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概要

エリック・クラプトンの生い立ち

Born : 1945

 エリック・クラプトンは1945年にイギリスのリプリーという街で生まれました。イギリスの戦後の状況でも書きましたが、ちょうど終戦の頃ですから、第二次大戦中にアメリカ兵が持ち込んだアメリカのレコード(ブルースも含む)を聴いて育った年代です。

父親はカナダ軍の兵士で、すでにカナダで家庭を持っていました。母親はまだ16歳と言う若さで、その後に別の男性とドイツで結婚してしまいましたから、母の母(祖母)に引き取られたようです。その祖母の再婚相手(義理の祖父)との子供として育てられると言う複雑な家庭環境でした。

エリックに優しくしてくれる、「エイドリアン」と言う15歳上の叔父(戸籍的には兄)がいて、彼が好きだった「ベニー・グッドマン」などの、1940年代から1950年代にかけてのジャズなどを一緒に聴いて育ちました。

10代になる頃には、アメリカではロックンロールが流行し、チャック・ベリーなどを聴くうちに、ブルースを知っていったのでしょう。マディ・ウォーターズ(マディは58年に渡英しています)などを聴き、1961年にロバート・ジョンソンのアルバム(キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ)とめぐり合います。この頃からはブルース一筋と言う感じで、翌年1962年から始まる「ブルースマン達のヨーロッパ・ツアー」で多くのブルースマンを直に見ました。

エリック・クラプトンのバンド経歴と代表作

ヤード・バーズ

 本格的なバンドは、1963年のヤードバーズ(後にジェフ・ベック、ジミー・ペイジも在籍)で、1963年に結成されたヤードバーズのギターがすぐに脱退した為、ボーカル「キース・レルフ」の友人だった、エリック・クラプトンが後任として加入しました。1964年「アイ・ウイッシュ・ユー・ウッド」でデビューしました。その後バンドはポップ志向が強くなり、ブルース志向の強いエリック・クラプトンは間もなく脱退してしまいます。

ヤード・バーズ

Five Live

64年3月マーキークラブでのライブ。10代のクラプトンが良いです。当時はサニー・ボーイ・ウイリアムスン2世をバッキングしたアルバムもありますが、あまり元気が無いので、このライブが一番良いと思います。

ファイヴ・ライヴ・ヤードバーズ+10(K2HD/紙ジャケット仕様)

 

ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン

ジョン・メイオールは1933年、イギリスのマンチェスター生まれです。父親の影響もあり、マディ・ウォータースサニー・ボーイ・ウィリアムソン等を聴いていたらしく、ブリティッシュ・ブルース・シーンでは、最も重要な人です。1955年にはマンチェスターで「パワーハウス・フォー」というバンドを作り、1962年になるとバンド名を「ブルース・ブレイカーズ」に改名して、活動の場をマンチェスターからロンドンへ移します。

エリック・クラプトンが加入したのは、1965年で翌年に一枚のアルバムを残しただけで脱退します。エリック・クラプトンとしては、ブルースだけをやるバンドは、このバンドだけではないでしょうか。

 
ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン

 

 

クリーム(Cream)

 1960年代後半の傾向として、有名バンドの実績あるスターたちが集まって、スーパー・グループが多く結成されました。その中でも1966年に結成されたクリームは、代表的なバンドです。当時のクラプトンは、ヤードバーズから、ジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズに在籍して、すでにギターの神様と呼ばれるほどになっていました。

デビュー前から注目されていた彼らは、1966年にファースト・アルバムを出します。少々地味でそれほどでもなかったようですが、二作目の「カラフル・クリーム」は、名曲「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」もあり大ヒットしました。さらに「ホワイト・ルーム」や「クロスロード」を含む三作目の「クリームの素晴らしき世界」でトップ・バンドとしての地位を築きました。

それぞれに個性の強い天才的な集団は、なかなかまとまらないものです。特にジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーは、ライブの途中でも喧嘩をしてしまうほどで、三年程の活動で1969年には解散します。

ERIC CLAPTON エリック・クラプトン(ギター、ヴォーカル)
JACK BRUCE ジャック・ブルース(ベース・ギター、ヴォーカル:元マンフレッド・マン)
GINGER BAKER ジンジャー・ベイカー(ドラムス:グレアム・ボンド・オーガニゼーションから移籍 )

クリーム1 カラフル・クリーム

 

 

クリーム2クリームの素晴らしき世界

ほとんどの代表曲が入ったベスト盤

 

クリーム・ベストザ・ヴェリー・ベスト・オブ・クリーム

 

 

 

Live at the Royal Albert Hall 2005

2005年の衰えを感じない素晴らしいライブ。楽しめます。

ブラインド・フェイス(Blind Faith)

 エリック・クラプトンとジンジャー・ベイカーは再度組んで、同じ年に、やはりスーパー・グループとして存在した「トラフィック」のキーボーディスト、スティーヴ・ウインウッドと、ローカル・バンドで活動していたベーシスト、リック・グレッチの4人でブラインド・フェイスを結成します。

当時21歳のスティーヴ・ウインウッドは、18歳の時に「トラフィック」のリーダーになったほどで、天才キーボーディストとして有名でした。しかし、このバンドもアルバム1枚を残し、1年で解散してしまいます。ブルース志向のクラプトンと、ジャズ志向的な3人があまり合わなかったようです。

その1枚です

ブラインド・フェイス1 スーパー・ジャイアンツ

Eric Clapton - guitar, vocals
Steve Winwood - organ, bass, guitar, piano, keyboard, vocals
Ginger Baker - percussion, drums
Ric Grech - bass, violin, vocals

2000年になり、「2000 Deluxe Edition」と言う、リマスターに追加曲(ブルース的でクラプトン・ファン向き)が加えられ、2枚組で発売されました。音質も評判良く、ライブの音源も追加され、ひじょうに充実した内容です。

ブラインド・フェイス2 Blind Faith [2000 Deluxe Edition]

エリック・クラプトンのアメリカでの活動

アメリカ・ツアー

1969年にブラインド・フェイスの全米ツアーが行われ、前座としてデラニー&ボニーが起用されます。彼らのサウンド(音楽に対する考え方そのものを含めて)を気に入ったクラプトンは、このツアー中に解散してしまったブラインド・フェイスをよそに、そのままデラニー&ボニー&フレンズのメンバーとしてツアーを続けます。この時初めて、クラプトンは「音楽を楽しむ」と言う事を知ったようです。

彼らとイギリス・ツアーなども行い、デラニーのプロデュースで、初のソロ・アルバムをレコーディングします。デラニー・ブラムレットの勧めで、歌う事にも力を入れます。一緒にツアーをするなかで、プロデュースもデラニーが担当した、1970年発表の初のソロアルバムです。
エリック・クラプトン・ソロ

 

さらに、彼らのバック・バンドのメンバー3人とデレク&ドミノスを結成し、「Layla And Other Assorted Love Songs」を製作します。1970年の「Layla:いとしのレイラ」を含むこれを、クラプトンのベストと言う人も多いです。

実際、私も最初に聴いたクラプトンはこれになりますが、その後にクリームをさかのぼって聴きました。ジム・ゴードン(ドラム)とカール・ラドル(ベース)のリズムに、デュアン・オールマンとの「レイラ」でのギター・コラボは名演と呼ばれるにふさわしいものがあります。
全体にストレートな音作りで、長く聴けるアルバムの代表ですね。

Original recording remastered

Layla and Other Assorted Love Songs  : Derek & The Dominos

国内盤 : いとしのレイラ

ソロ活動のきっかけはデラニー&ボニー

夫婦デュオ「デラニー&ボニー」の、夫であるデラニー・ブラムレット(1939年ミシシッピ州生れ)は、少年時代から黒人音楽の影響を受け、60年代にロサンゼルスヘ移住してミュージシャンとして活動します。

そこで知り合い、結婚した妻のボニー・ブラムレット(1946年イリノイ州生れ)は、60年代の初め頃からアルバート・キングなどのバック・コーラスをしていたようで、アイク&ティナ・ターナーのコーラス・メンバーにも加わります。アイク&ティナ・ターナーと共に、ロサンゼルスへ移住し、デラニー・ブラムレットと知り合います。

また、デラニー&ボニーは白人として初めて、メンフィスのソウル・レーベル「スタックス」と契約し、レコーディングもしています。当時のスワンプ・ロックを代表するグループと言えます。

ちなみに、1969年当時のアルバムのメンバーを見ると、その顔ぶれに圧倒されます。アルバム:Accept No Substitute(オリジナル・デラニー&ボニー)では、レオン・ラッセル(ピアノ、ギター、アレンジ)、ドクター・ジョン(キーボード)の大物に加え、ジェリー・マッギー(ギター)、ボビー・ウィトロック(キーボード)、カール・レイドル(ベース)、ジム・ケルトナー(ドラムス)、リタ・クーリッジ(ボーカル)、ジム・プライス(トランペット、トロンボーン)、ボビー・キーズ(サックス)と言った顔ぶれで、スタジオ・セッションマンとしても見かける名前です。

真の意味でのソロ活動

 3年間の充電期間を置き、74年に発表されたスタジオ・アルバム。デレク&ドミノスのカール・レイドルやイヴォンヌ・エリマンなどをゲストに迎えて制作しています。J・J・ケイルあたりから始まった、「レイドバック」の言葉が定着したのも、このアルバムではないでしょうか。タイトルは録音スタジオの住所で、曲のタイトルには結構ありますね。

 当時のクラプトンはボブ・マーリーのライブに、観客としてよく行っていました。それをさっそくカヴァーして「I Shot The Sheriff」をヒットさせるあたりは、クラプトンならではです。この曲でレゲエが世界的に認知されたのではないでしょうか。

ロバート・ジョンソンの「Steady Rollin' Man」のアレンジも、なかなかカッコ良いです。「I Can't Hold Out」「Willie And The Hand Jive」など、ブルース、R&Bのカヴァーも忘れていません。この後のロックに深い影響を与えたアルバムだと思います。1974年発表の名盤。オリジナル版
461 オーシャン・ブールヴァード

エディション版

リリース30周年を記念してのデラックス・エディション版。ディスク1は、デジタル・リマスターを施したアルバム収録曲にセッション・アウトテイク5曲を加えた全15曲を収録。ディスク2には、1974年12月にハマースミス・オデオンで行われたライブ11曲を収録しています。
461 Ocean Boulevard [Deluxe Edition]

 

デラニー&ボニー
(Delaney & Bonnie)

The Original Delaney & Bonnie (オリジナル・デラニー&ボニー)

1969年の作品ですが、これの前にスタックスで録音(同年)された「Home」があります。それの発売が見送られた為、これがファースト・アルバムになります。スワンプ・ロックを代表するアルバムです。先に書きましたように、強力なメンバーによるバッキングと、それに負けない、ソウルフルなボーカルがとても良いです。
The Original Delaney & Bonnie

レオン・ラッセル (Leon Russell)

(born:1942)

Carney

カーニー1972年の3枚目のアルバムです。1曲目のタイトロープがヒットして、最初に聴いた時は不思議な雰囲気の曲だなと思いました。美しい曲も作るし、ドロドロした曲も作り、独特のダミ声で歌います。カーペンターズジョージ・ベンソンもカヴァーした名曲「マスカレード:This Masquerade」も含む、スワンプ・ロックの好アルバムです。
Carney

 

デビュー作1969年の製作(英国ロンドン録音)のデビュー作です。名曲「ソングフォーユー」から、アクは強いですが良い曲が並びます。メンバーも当時のデラニー&ボニー&フレンズつながりで、アメリカ、イギリスの有名どころ(ビートルズ、ストーンズのメンバー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、チャーリー・ワッツ、ビル・ワイマンなど)が、多数参加しています。このアルバムの製作が、シェルター・レコードを設立するきっかけとなります。
Leon Russell

ドクター・ジョン

GUMBO (ATCO)
DR. JOHN (1972)

GUMBO

ニューオリンズの名物ボーカル・ピアニスト。アン・アーバーにも出演してます。とにかくいろんな所に顔を出す人で、個性的なダミ声とニューオリンズの様々なピアノ・スタイルをマスターしてる人です。ジャズ・スタイルのアルバムやフュージョン・アルバム等、とにかく多才です。どんなスタイルでやっても強烈な歌声ですから、すぐわかります。南部の雰囲気が一杯のこのアルバムが、最もニューオリンズ的です。

Dr. John's Gumbo

この時期の録音では、上記のミーターズがバックを務めた、『イン・ザ・ライト・プレイス』もあります。こちらは、ニューオリンズ・ファンクと言った感じです。どちらも、名盤です。

In the Right Place

 

ZUZUMAN (P-VINE) : DR. JOHN

ZUZUMAN

こちらは、73,74年にリリースされた2枚からの編集盤で、とにかく色々なタイプの曲が網羅されていて面白いです。時々ポップで変な曲もあったりしますが、カッコいい曲はなかなかカッコいいです。

この時期の録音では、上記のミーターズがバックを務めた、『イン・ザ・ライト・プレイス』もあります。

販売状況→Zu Zu Man [Trip/Delta]

かなり良い選曲のベスト盤→Mos' Scocious : The Dr. John Anthology ガンボの曲からイン・ザ・ライト・プレイスなども入っていて、これ良いです。

 ※ドクター・ジョンの比較的近作(1990年頃から~最近2008年)も、アルバムごとに得意の変幻自在のスタイルで楽しませてくれます。

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