モダンブルース・ギターの父とも呼ばれる、ティー・ボーン(T・ボーン)・ウォーカーのアルバムは、どれもそれなりに良いものばかりです。時代とともに変化していくのは当然ですが、ファンキーにしても彼一流のスタイルがあり魅力的です。
特に、1940年代の録音での、エレクトリック・ギターのフレーズの完成度には、ただ驚くのみです。現在のブルースやロックのギタリストにも、彼のフレーズがいたるところに残っています。ビー・ビー・キング、アルバート・キングなどに代表される、アーバン・ブルース・スタイルのギターは、彼無しには生まれなかったでしょう。
ではT・ボーン・ウォーカーのスタイル形成に影響を与えたのは誰かと言うと、最初にブルースに接したのはブラインド・レモン・ジェファーソン(1897年-1930)あたりのようです。まだ子供だったT・ボーン・ウォーカーは、盲目のブラインド・レモン・ジェファーソンの手を引いてあげたと言う話を聞いた事もあります。また、
出身地のリンデンはダラスの東方に位置しますが、比較的近い所にシュリーブポートの町があります。この辺りは黒人人口が多くて50%近くありました。ですからブルースマンも多く集まり、街頭でもブラインド・レモン・ジェファーソン(1897年-1930)、ロニー・ジョンソン(1894-1970)、テキサス・アレクサンダーと言った有名な人達が歌っていたようです。
ブルースへの入口がブラインド・レモン・ジェファーソンとして、T・ボーンの際立つ性格のギター・スタイル、すなわちエレクトリック・ギターによるシングル・ライン・ソロの形成に影響を与えたのがロニー・ジョンソンだと思われます。R&Bとジャズの要素がかなり感じられるT・ボーンのギター・スタイルが、後進に与えた影響は後々まで継承されて、現在でも多くのブルース系・ロック系のギター・フレーズに聴かれます。
アルバート・キングとB・B・キングが「影響を受けたミュージシャン」として共通で挙げているのが、ロニー・ジョンソンとT・ボーン・ウォーカーですが、この二人はエレクトリック・ギターも早い時期から使用しています。ロニーの使い方がアコースティックのままのサウンドを効率的に増幅する音作りなのに対して、T・ボーン・ウォーカーの場合は、よりエレクトリック・ギターにしか出せない音作りをしています。
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