音楽的にみたブルース
黒人ブルースは、音楽的には12小節進行と言う、固有のコード進行パターンをもっています。このような定型のコード進行を持つ音楽は他に知りません。リズムパターンは長い歴史のなかで、いろいろな要素を取り入れたり創造したりして、じつに多様です。
ブルース特有のリズムとしては、ブギー(ブギ・ウギ)、シャッフルなどがあります。アメリカに強制的に連れてこられた、アフリカン・アメリカンが創り出した独創的な音楽は、20世紀には世界中に拡がりました。
ジャズも100年位前にブルースの強い影響下の中で始まり、ロックンロールも50年位前にブルース(リズム・アンド・ブルース)から生まれた音楽です。
さらに、リズム・アンド・ブルースからソウルと言う流れもブルースからのものです。
日本にもブルースとタイトルがついた曲が沢山ありますが、あれは音楽的にではなく、ブルースと言う語感がもつ雰囲気から付けたものでしょうね。
よく「憂鬱」な気持ちとして、訳されたりします。でも、実際のブルース音楽は実に多様で、暗く重いのから、明るく軽いのまで無数にあります。
何しろ100年近い録音の歴史があるのですからね。気が向いたら一枚でいいですからブルースを聴いてみて下さい。ちなみに、私がよく聴くブルースは「モダン・ブルース」「アーバン・ブルース」と呼ばれるものが多いです。
シティとカントリー
ブルースは奴隷解放後に、ワークソングやフィールド・ホラーと言った野外での労働歌が原点となり、時を経て地域を拡げ、そして交わりながら形成された音楽です。
ですから、カントリー・ブルースの弾き語りスタイルが、ブルースの原型を今に伝えているものだと思います。19世紀後半から20世紀の中頃までは、南部のミシシッピー・デルタを中心に、多くのカントリー・ブルースマンがいたことでしょう。
20世紀になると、仕事を求めて北部の工業都市に多くの黒人が移住しました。1920年代~30年代頃はシカゴを中心にブギー(ブギ・ウギ)のスタイルが流行し、リロイ・カーのような、洗練された感じのシティ・ブルースがレコードとしてよく売れました。
ブギ・ウギは1940年代には、中西部辺りで盛んだったジャンプ・ブルースなどと共に、リズム・アンド・ブルースと言うバンド・スタイルに昇華し、更にゴスペルの影響が強いコーラス・グループ(ドゥー・ワップ)などと共に、ロック・ロールが流行します。
モダンとアーバン
シティ・ブルースも南部のブルースマンに影響を与え、シカゴなどの北部都市に移り住んだマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ等により、電気化されたバンドスタイルが形成され、シカゴ・ブルースが全盛期となりました。
私も明確な定義は知りませんが、リズム・アンド・ブルース以降をモダン・ブルースと思っています。その中で、1950年代あたり以降のリズム・アンド・ブルースの影響が強い、バンドスタイルのいろんなブルースをアーバン・ブルース(都会ブルース)と思っています。上記の人達ですね。
シティとアーバンがどう違うのか?と言われそうですが、シティ・ブルースはアコースティック・ピアノ、アコースティック・ギターのブルースで、1930年代~40年代あたりです。(徐々にエレクトリックを取り入れたりしていきます)
また、バンド・ブルースと共に、白人カントリーもエレクトリックを取り入れて、ヒルビリー~ロカビリー、さらにブルース、R&Bと言う要素が合わさっていき、1950年代中頃にはロックンロールが大ブレークします。
1960年代にはヨーロッパ・ツアーなども多くあり、大きな規模のフェスティバルなどで、白人のロック・グループなどもブルースを取り入れ、世界的にブルースは知られていきます。
アンプの進化などで、パワーも増して多彩な音が出せるようになり、エレクトリック・ギターがバンドの中心的なサウンドになって、ロックンロールからロックという呼び方になっていきます。
イギリスからは、ブルース、ロックンロール、ロックをやる若者のバンドから、世界的なヒットを出すバンドが出てきたり、アメリカでもブルースをベースとした若者のバンドが多数出てきて、さらに、ブルース・セッションなどでの交流もあり、70年代にはクロス・オーバー、フュージョンと言ったジャンルの無い様なジャンルが主流となります。
日本でも、バンド・ブームがありましたが、ルーツとなった海外のバンドの多くも、ブルースから多くを学んでいます。実にいろんなブルースがあると思われるでしょうが、時代とともに変化するのは当然で、呼び方も変わりますがブルースはブルースです。決め手は12小節スリーコード進行で、これがある限りはブルースです。まずはブルースを聴いてみて下さい。
21世紀になっても、ブルースは健在です。80年代~90年代頃のデジタル化されたサウンドの時代を通り過ぎて、またその時に得た経験も加え、なおかつ人間臭いサウンドを求める人達はブルースを忘れません。
現在でもブルースをやる人とバンドは沢山います。ライブ・ハウスなどでも、フリー・セッションやブルース・セッションの出来る日を設けているところもあり、3コードの定型フォーマットを持つブルースは、ぜひ覚えて欲しいです。